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bakaid: 20090906

『ナンバー 736』(文藝春秋)、『野村克也「書くことで人は伸びる」』から。

p.34、野村監督所有の「ノムラの考え 2006〜」より:

                       【成長と進歩について】

  目一杯の幸せも不幸もないはずだ。腹八分目の幸せや不幸であるべきだ。あ
  との二分が成長のエネルギーになっていると考えるべきだ。

  〔成長について〕

  成長とは

  (1) 自分の間違いに気付き、それを正していくこと
  (2) 判断基準のレベルを高めること

  1. 人間的成長なくして、技術の進歩はあり得ない。選手はいずれ引退する
     ときが必ずきます。そのときに、「選手−野球=0」とならないために
     日々どう過ごしていくかを真剣に考えて、取り組んでいくべきです。野
     球をはずしたら「ただの人」にならないよう、今日一日を大事に積み重
     ねていくべきです。

  2. 現代の時代背景は「明るい」「楽しい」「わかりやすい」「おもしろい」
     が主流となっていますが、果たして人間社会にとってそれが「正しい」
     のかどうかは疑問です。人間的成長と能力の発達を根本的理念として進
     むべきです。どの分野においても真のプロフェッショナルと言われる本
     物や職人が減少してきている現実が淋しく感じられます。重い・深い時
     代から浅い・軽い時代へ移行!!

  3. 「教育」と「躾」は最も重要で、その基本は「礼」と「義」と「恥の意
     識」を身に付けることなのです。「礼」とは“おかげさまで”という謝
     意・敬意と挨拶・作法のこと。「義」とは生きていくための正しい道、
     条理・道理のこと。「恥の意識」をもつことは、人間らしくプロらしく
     成長していくためのカギとなるのです。“人間は礼に始まって礼に終わ
     る”といいます。挨拶とは「ひらく」「せまる」と読みます。即ち、
     「心を開いて相手にせまる」という意味合いのことで、コミュニケーショ
     ンの第一歩なのです。人間は「恥の意識」をもつことで、人間らしくな
     り始めるものなのです。

  4. 仕事は成長していくための手段であるから、「男一生の仕事」という観
     念で、人生観と照らし合わせ、納得できる仕事であるべきなのです

  (以降、野村監督の手がジャマで読めない (笑))

同じくp.36より。

                         【人生観と仕事観】

  野球を仕事としていく以上、野球だけに考え取り組んでいては、全く社会人
  として、職業人として失格です。仕事は当然、人生や社会や組織(企業)と連
  動しているのです。広い視野をもって取り組むべきです。現役生活は短い。
  引退後の人生の方がはるかに長いことを念頭に入れておくべきです。

  人生とは、幸せな人生を目指し努力していくものですが、満足な幸せもなく、
  またどうしようもない不幸もありません。幸も不幸も、自分自身がつくって
  いくのです。

  年に一度くらいはいろんな角度から野球(仕事)を考え、見据えて取り組むべ
  きです。いずれにしても、最低限「経験」と「知識」と「鋭い感性」は仕事
  において不可欠な要素です。

  “思考が人生を決定する”と言い切る人もいるくらい、“考え方”というの
  は生きていく上で大変重要なことです。その“しっかりした考え方”をして
  いくために、知識量を増やし、修羅場の経験を踏む必要があるのです。“思
  考”のためのエキスを大いに増やしていくべきです。

  1. 人生観を確立しない限り意義深い仕事はできない。

     充実した日々、幸福感に満ちた人生を送ることが目標であり、仕事はそ
     の目標を叶えるための最も重要な武器である以上、切り離して考えるこ
     とは不可能です。

     まず、一度や二度は「人間は何故生まれてくるか?」を考えるべきです。
     「人生」という字は「人として生まれる」「人として生きる」「人を生
     かす」「人を生む」と読むことができます。その読み方一つ一つに大き
     な意味を含んでいると思えるのです。各々が「人生をどう生きたいのか?」
     「どういう人間になりたいのか?」という根本目標をはっきりと胸の中
     に秘めて、こつこつ地道に努力していくのです。そして「幸福とは何か?」
     も同時に考えるべきで、幸福とは決して地位や財を得るだけではないは
     ずです。

     人間は思考(考え方)と感情の二大要素をもっています。すべては“考え
     方”次第であり“感じ方”次第なのです。一言でいうならば「頼れる自
     分づくり」に励むことに尽きます。

  2. 人間は「存在するため」と「生きるため」という二つの使命を背負って
     生まれてくるのです。

     即ち、「存在感」と「価値観」が問われ、評価の対象として生き続ける
     のです。もう少し詳しく言うと、「人間性の評価」と「仕事の評価」と
     言っていいと思います。人間性は、顕著に仕事ぶりに現われるものなの
     です。“人間は評価に始まって評価に終わる”と言えます。評価は、他
     人からの評価が正しいのです。自分で自分を評価すると、どうしても甘
     くなります。“評価”こそ生きていく糧である。

  3. 「希望」を抱け!!

     強い希望が自分を好循環にしてくれるのです。「人生をどう生きたいの
     か」「どういう人間になりたいのか」という強い希望を抱くことが大事
     なのです。

同じく、『「野村ノート」の正体。』から。

p.39、広澤克実氏の談話:

  「野村監督の基本的な考えは目に見えないもの、形にならないものをどう捉
  えるかということなんです。速い玉を投げる、打球を遠くに飛ばすといった
  目に見える能力は才能で限界が決まる。どんなにがんばってもイチローみた
  いにボールを捉えることはできない。でも野球はイチローがそろえば勝てる
  というものでもない。弱いチーム、才能で劣る選手が集まったチームが強い
  チームを倒すためになにをするか。駆け引き、データの活用、心理を読んだ
  攻め、そうした無形の力を駆使して有形の力で上回るチームに勝つ。それが
  野村野球の根本にある考えで、自分が教わってきた野球というものの考え方
  にはまったくないものでしたね。」

p.40、遠山奨志阪神タイガース育成コーチが所有する「ノムラの考え」より:

                          はじめに(心構え)

  世のため人のために役立っていない仕事は、まず存在しない。我々は「野球」
  という職業を選択した事実に基づき、人生の基礎や生きていくための原理原
  則を学びながら、日々を過ごしていくのである。そして「プロ野球」は、ファ
  ンなくして存続していかないという現実を直視するところから「生きる」
  「働く」「暮らす」の一組を根本として行動していくのである。「幸せな人
  生」を送ることが、永遠のテーマなのである。

  我々の仕事も、青少年に夢と希望を与え、文化に、娯楽に、街の活性化に、
  スポーツ界などに、大いに大衆娯楽として貢献しているのであるから、胸を
  張って誇りをもって、行動すべきである。

  プロ野球の原点は、当然ファンである・・・ということは、人気稼業である
  わけだから、我々の価値基準は「球場に、どれだけのお客さんを集めたか」
  にあり、そのための貢献度が我々の価値観として、決定づけられるのである。

  我々の向ける目(方向性)は、「お客さんがどれだけ感動し、満足し、グラン
  ドから去っていかれるか」というところに、常に向いていることなのだ。

  グランドと観客席との空間にこそ“生き甲斐”が存在する。ファンはエキサ
  イティングな野球を望んでいるのだ!!

  「楽しい」「おもしろい」「明るい」「わかりやすい」ということが、もて
  はやされる時代背景の中でのプロ野球だが、時代の波に押されることなく、
  厳しい実力社会・勝負の世界を生き抜いて行くべきと考える。

  要は意思の統一を計り、戦力を集中させてグランドに出れば“勝つ”ことの
  一点に全力を尽くせばよいのである。

      “優勝は強いか弱いかよりも「ふさわしい」かどうかで決まること
        が多いのだ”

p.41、楽天イーグルスの嶋基宏選手がノートに書き留めた野村監督の言葉:

  <変化に適応するには>

  (1) 物事を簡潔に捉え、柔軟な能応ですばやく動くこと。特に問題を複雑化
      しないことである。

  (2) 失敗することばかり考えて、自分を見失なってはいけない。

  (3) 小さな変化に気づくこと
      (変化には早く適応すること。遅れると適応が難しくなる)
      現実は中々そうにはいかないのが常である。
      気づくという行為が重要なポイントとなる。

※ 『能応』は本文ママです。多分『対応』のこと。

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